ずいぶん前にトライアスロンや長距離マラソンで、
心停止を起こしてしまう人が多くなるのではと、
いらぬお節介的なお話しを書いたことがあります。
そこにつながるお話しです。
走りすぎで男性ホルモンが低下してしまい、
その結果心停止などの状態を生じてしまうそうなのです。
病名としては、
運動ストレス性低テストステロン症。
テストステロン=男性ホルモンとして、
筋力の増加や骨格の発達を促します。
30歳ごろから少しずつ減少してきます。
女性のように更年期が目立つ人は少ないのですが、
かなりのストレスを受けた場合は、
やはり男性更年期と呼ばれる症状が現れます。
さて神奈川県にあるクリニックの先生が報告したお話は、
スポーツ大会でトラブルを起こした参加者について、
40~50代の60名についてテストステロンについて調査を行いました。
過去三か月間とスポーツ大会で怪我の経験のない健常者の方20名と、
クリニック通院中の加齢男性性腺機能低下症候群の10例を比較しました。
(トラブルの内容は死亡事故から捻挫まで多数あり)
その結果、日常の運動量(走行距離)が正常群では150㎞(プラスマイナス30km)/月、
正常群の加齢性男性性腺機能低下症候群(LOH)では46㎞(プラスマイナス11km)/月であるのに対し、
トラブル群では250㎞(プラスマイナス51km)/月と多いものでした。
加齢性男性性腺症候群(LOH)の症状チェックシート(後記)では、
正常群のLOHと診断された方は全般的に点数が高く問題を抱えていましたが、
トラブル群では睡眠と性機能のみで点数が高い特徴がありました。
心電図上の変化に乏しく事前に見つけることが難しいことが困難であったのです。
(前回の内容ではなんちゃってマラソンランナーの方が増えて、
動脈硬化があり、不整脈など時々生じていた方が起こしやすいのではという仮説を立てていましたが、見事に外れてしまいまし。た。)
その後トラブルを生じた群の方に、
3カ月安静にすることでテストステロン、貧血、LOHのチェックシート(AMS:aging male's symptoms)の正常化が見られたそうです。
日常的な過剰運動が心臓に負担をかけていたこと。
同時に低テストステロン症を生じてしまい、
性腺機能低下をきたしていたこと。
その結果、スポーツ大会での心停止を何らかの影響を受け引き起こしていたと考えられるそうです。
性機能の問診がトラブルを生じさせない為の簡易スクリーニングと必要になると思われます。
LOHチェックシート
1.全体的に具合が悪い
2.関節や筋肉の痛みがある
3.ひどい発汗
4.睡眠トラブル
5.よく眠くなる、疲れやすい
6.いらいらする
7.神経質になった
8.不安感
9.身体の疲労や行動力の減退
10.筋力の低下
11.憂鬱な気分
12.絶頂期は過ぎたと感じる
13.力尽きた、どん底にいると感じる
14.髭の伸びが遅くなった
15.性的能力の衰え
16.朝立ちの回数が減った
17.性欲の低下
これらの質問に、ない(1点)軽い(2点) 中程度(3点)重い(4点) 非常に重い(5点)と点数を付けてみて、
総合計が50点以上=重度、37~49点=中程度、
27~36点=軽度、17~26点=なしと判断されます。
気になる方は迷わず専門の先生(泌尿器科)を訪ねてみてくださ
い。
マラソンやトライアスロンからのホルモン異常つながりでした。