父が腰椎骨折で入院しているため、
飛び込むように入ってきた記事です。
国際医療福祉大学の太田先生の報告です。
超高齢化の進む日本において骨折はある年齢以上の方に取って、
致死的な病気であるというのです。
骨粗しょう症からの骨折のうち、
椎体(背骨)骨折や大腿部近位部(上部)骨折は、
癌よりも長期の生存率が低いのでした。
歳のせいでちょっと転んだだけで骨折から寝たきり、
認知症への道のりは見えていましたが、
骨折後の生存率はすべて低下する!
そうなのですが、
75歳以上の男女合わせて1000名を超える骨折者の18年に及ぶ生存率が検討された報告では、
ベースラインが75歳以上であるとはいえ、
大腿骨近位部(上部)骨折者は女性では5年足らずで半数がなくなり、
男性では7年半で全員がなくなるという結果が出ています。
何とも恐ろしい事実です。
骨折の一番の予防法は??
骨粗しょう症の予防がまず大事です。
そのためには、
若いころに運動と栄養等などに気を配り、
最大骨量(PeakBoneMass:PBM)を高めておくことで、
骨貯金をしておくことが必要になります。
骨貯金が少なければ早期に容易に骨粗しょう症になりやすくなります。
骨の発育のピークは一生に二回。
一回目は1~4歳。
二回目は10~15歳。
二回目の時期に成人の骨密度の26%を獲得するそうです。
骨貯金にはジャンプして着地する等骨にかかる負荷の大きな荷重運動が必要になります。
垂直にジャンプして荷重される運動で、
骨代謝の司令塔である骨細胞に刺激が加わり、
骨の新陳代謝が活発化されます。
WHOでは15~17歳の子供、未成年者に対して、
全身の持久力、筋力、骨の健康のために、
一回60分の中・高度の身体活動を毎日行うことや、
有酸素運動、骨や筋肉を強化するための高強度活動を週三回行うことを推奨しています。
最大骨量(PBM)を得るために必要な栄養素は、
カルシウム、タンパク質、ビタミンD。
n-3系脂肪酸摂取量も大腿骨のPBMの最大化には影響が大きく、身体活動性も
大切になるそうです。
n-3系脂肪酸とは、
魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコヘキサエン酸)。
紫蘇・えごま・きゃのーら、大豆油などの植物油の主成分である
α-リノレン酸です。
将来の骨粗しょう症リスクを少なくするためにも、
若い時代におけるn-3系脂肪酸をしっかり取ることが大切になります。
骨粗しょう症の大半を占める女性は、
長生きの傾向にあります。
しかしその寿命は不健康期間が長く、
健康格差も大きいために、
要介護者の70%を占めてしまいます。
主な原因としては閉経後の女性ホルモンの低下にあります。
骨密度が急激に低下してしまう時期に、
女性ホルモンの補充療法を先行投資することで、
思いもよらない骨折によるトラブルを回避することが可能となります。
遺産効果と呼ばれる最初にきちんと治療開始することで、
無治療でトラブルを生じやすい状況を作らず、
骨折を起こしにくくなるという利益が得られます。
日本での大腿骨近位部(上部)骨折は80代の女性が一番多く37.5%。
次に多いのは90代以上で20.5%。
この部位の骨折(大腿部近位部)のターゲットは、
80歳以上の女性ですが、
長命大国日本の女性は世界一の生命長寿で、
二人に一人は人生90年時代にあります。
将来の骨粗しょう症に備えての早期治療介入することで、
骨折による介護人口を減少させることが可能になるかもしれません。