「今年のダイコンは不作だよ。」
「そうですか、収穫はもうしたの?」
「いや、これからだ。」
血圧を測りながらおばあちゃんが答えてくれました。
天気の良い日はほとんど自転車にのって急な山道も頑張って乗りこなすスーパーおばあちゃんです。
今の時期は大根と鏑の収穫の時期です。
夏に種をまいてからの草むしり、
収穫のちの洗浄、加工。
秋の田んぼの仕事に合わせて執り行われるため、
農家の女性はかなり疲労しています。
ずいぶん前のことです。
大根の作が良い年でした。
一本一本がとても立派で大きくできました。
大きくできたのはいいのですが、
それを収穫洗浄加工をするのは誰なのか?
田舎に残り家を守るおばあちゃん。
干し大根を都会に住む親せき、子供に送るため毎年せっせと作ります。
強者は100本単位の作成です。
天気の良い日に加工することができればいいのですが、
年によって寒く雪がちらつくような時期と重なることがあります。
そんな時と、豊作が重なると、、、。
血圧が高くなったり、
胸が時々キューンといたくなるけどだましだましで、
とにかく仕事を終わらせてからの受診となるのです。
話すだけで少し肩呼吸になるおばあちゃんもその仲間です。
(私に)怒られる前に仕事を全部し終えてからの受診。
胸の写真を撮ると検査はきちんと事の成り行きを教えてくれます。
安静を取り身体を大切にして過ごせていたかどうか。
自分の身体を顧みずに仕事にがむしゃらに取り組んでいたかどうか。
ただの農作業かもしれませんが、
その収穫の量に左右されてくる身体のあやうさ。
農作物は重さや量などで身体にかかる負担が見える化されていますから説明が簡単です。
もうとにかく小分けにして全部終わるまでなんて働き方をしないように酸っぱく話しをしています。
むかしで来たからいまもできるという根拠のない自信が底辺にあり動いてしまうのです。
無理をしたら当院での経過観察が難しくなる方ばかり抱えています。
冷たい水を使う作業や重い収穫物を運ぶ作業を経て加工されるお漬物。
美味しいものが簡単に手に入る時期ですが、
その陰には人知れず誰かが手をかけてくれている流れがあります。
何を言いたいか。
働き者のおばあちゃん。
寒いときの仕事は手短に。
冷たい水を使う時は必ず手袋と防寒体勢で。
全部やるのではなく、
自分の身体に合わせて仕事の量を決めてください。