高齢者の多い当院外来。
数年前まで数十分車移動され整形通院を頑張っていらした何人かの方が、
当院に湿布を希望することが多くなりました。
(腰、肩、膝が多いです。筋トレ、ストレッチやタンパク質の重要性等お話ししてはいますが診察室を出てしまえば馬耳東風の如しの現実です。年を取ったのだから仕方がないとあきらめが強く感じられます。自力で運動できないのであれば他力でお願いしてみるようにもお話ししています→整体院受診、訪問リハ指導など)
訳を聞くと今は整形通院していない、もしくは回数が減ってきたとのこと。
骨粗しょう症対策の内服は継続しているか否かの確認をすると”いいえ”のお返事。
これはこちらで見ていく部分と骨密度測定できる機器を購入したのが去年のこと。
一年立ってどのくらい改善したかなと再検査を先日してみました。
すると今年の夏は暑かったためか、
いつも行う散歩が不十分であった方以外はほとんど全部改善していました。(去年より
数パーセント上昇の程度ですが)
70代や80代になっても良くなるところがあるということは本当にうれしい話です。
(骨粗しょう症を改善する優しい内服は必要ですが)
栄養十分な食事、運動で筋肉は維持することは可能なはずですが、
現実は目標地点までうまく誘導できていません。
年寄りだけの話ではないのが骨の怖いところ。
骨粗しょう症の予防には若いころに運動と栄養などの日常生活で最大骨量(PBM:
PeakBoneMass)を高めて(骨貯金)、骨量が目減りする将来に備えることがもっとも重要な事だからです。
骨貯金が少なければ早期から簡単に骨粗しょう症になりやすくなるのです。
骨発育のピークは一生に二回。
一つは1~4歳。二つ目は10.5~14.5歳。
やく10~14歳の4年間に成人の骨密度の26%を獲得することや、
18歳時に大腿骨や腰椎の最大骨密度が最大になるという日本での結果も得られています。
骨貯金にはジャンプして着地するなど、骨にかかる力学的負荷の大きい荷重運動が必要です。
WHOのでは15~17歳の子供や未成年者に対して持久力、筋力、骨の健康のために、一回当たり60分の身体活動を毎日(!)行うことが推奨されています。
他にも有酸素運動60分毎日(!)、骨や筋肉を強化するための高強度運動を週3回(!)行うことも同じく推奨されています。
最大骨量を獲得するためのカギとなる栄養素:カルシウム、タンパク質、ビタミンD、
EPAが含まれている魚油、DHAなどが含まれている紫蘇、荏胡麻、大豆油。
高齢になってからの骨粗しょう症発症リスクを少しでも減らすために、
若いころからの意識的なこのような食材の摂取が勧められます。
女性の場合は閉経によってエストロゲンの分泌の低下により、
骨密度の低下がより進行してしまいます。
閉経後早期に急激にもっとも骨密度が低下する時期に適切な女性ホルモンの補充治療をすることで骨密度の低下を遷延することが期待されます。
日本では大腿骨骨折(近位部)は80代の女性が一番多く37.5%、次に多いのは90代で20.5%。
(国際医療福祉大学:太田教授のお話しより 日経メディカル12/2017)
事が起きてくるのは80代になってからのことなのですが、
自由に動ける老後のためには若いころからの骨貯金が必要になるのです。
お薬でも少しは改善してくれますが、
日々の食事をしっかり意識しながら骨貯金するほうがお安く安全です。
赤字の部分の食品を毎日一つ意識して食べてみてください。