さて昨日の続きです。
③消炎鎮痛剤≪非ステロイド系≫による小腸潰瘍
痛みどめを空腹時に内服すると副作用を生じやすい方たちがいます。
胃潰瘍が有名ですが、こちらは対応できるお薬があります。
(胃酸の分泌を弱くするお薬で効果あり)
小腸潰瘍はあまり有名ではありませんが、
こちらには治療法が存在していませんでした。
3カ月以上消炎鎮痛剤(非ステロイド系)を続けて内服している方の半数から9割に小腸潰瘍が認められているそうです。
ある実験をしました。
この二種類に効果のある抗生剤、それぞれ陽性、陰性の身に効果のある抗菌薬を普通のマウスに服用させ、
消炎鎮痛剤(非ステロイド系)を投与のち小腸潰瘍ができるかどうかを見ました。
するとグラム陰性菌だけをたたく抗菌薬を投与した場合にのみ、
小腸の潰瘍面積が減少することがわかりました。
→この事実からは「グラム陰性の腸内細菌が小腸潰瘍の発症に関与していること。」が導き出されます。
しかし全体的にこのような実験(消炎鎮痛剤(非ステロイド系)を投与のち小腸潰瘍を作ったマウスに抗菌薬を投与する)では、
抗菌薬を投与しなかった場合に比べてマウスの死亡率が高いそうです。
潰瘍の発症予防には抗菌薬は効果がありましたが、
潰瘍発症後には潰瘍を修復するような腸内細菌叢が形成されるのに、
抗菌薬がその有効な細菌叢を破壊してしまうために死亡率が上昇したのかもしれないということです。
治療には残念ながら使えません。
そこで登場するのが、プロバイオティクス。
Lactobacillus属菌の生菌を投与すると、
潰瘍が小さくなったそうです。
*Lactobacillus属菌→乳酸菌の一つ、ヨーグルト作成時に活躍する。ラクトバチラス・ブルガリクス、ラクトバチラス・ガゼリ、
ラクトバチラス・アシドフィラス等あり。
ラクトバチラス・カゼイ・シロタ株は別名ヤクルト菌と呼ばれるそうです。
腸内細菌を良い状態に保つことで、
完全には小腸潰瘍を治すことは難しいかもしれないけれど、
臨床的に問題のない状態に維持できる可能性があるそうです。
④非アルコール性脂肪肝疾患
ずいぶん昔に、
お酒を飲まないのに肝硬変になって肝癌発症しやすくなるから大変だーという触れ込みで知った疾患です。
こちらも実は実は腸内細菌が関与してるというものです。
腸内細菌由来の細菌内毒素(エンドトキシン)は肝炎を引き起こしてしまう力がかなり強いそうです。
動物実験をしました。
普通のマウスに高カロリーで脂質成分の多い食事を食べさせると腸管バリアが破壊され、
透過性(腸管から血液への細菌内毒素の移行が増す)が亢進。
しかし、
腸内細菌の存在しない無菌マウスではこれらの現象が起こらない。
腸内細菌でも細菌内毒素を産生しない菌がいて、
(Faecalibacterium属菌)
その菌が健常人に比べて、非アルコール性脂肪肝疾患の患者さんの腸内では減少しているという結果を得ました。
肝臓の線維化(肝硬変へなっていく時に生じる変化)が進むにつれどんどん菌体量の減少、
すると腸管透過性は亢進していき、
細菌内毒素が腸管から血管へ移行しやすくなります。
その毒素によって肝炎が悪化するという悪循環が待ち構えています。
非アルコール性脂肪肝疾患の治療としては、
減量が第一ですが、
実行するのは現実的に難しいことが多いです。
でもしかし簡単に行動できることがあります。
食事内容を低カロリーで脂質の少ないものに変え、
腸内細菌叢の改善を図っていくことです。
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という風に、
4つの病気と便秘についてお知らせしました。
便秘しないように食餌のバランスを考えて野菜を多くとるようにしましょう。
便通は3日に一度は確実にあるように確認してみてください。
毎日一定量の便通があるかどうか確認してください。
結論、老廃物は身体からはやめに取り除いていきましょう。