まだインフルエンザの予防接種も始まらないのに、
県内で学級閉鎖を生じるようなインフルエンザの発症がありました。
今年は猛暑で経験のある農家のお父さんからは、
「今年は雪が多いかもしれない。」と寒い冬の予想も出ています。
さて日本臨床内科の月刊誌より、
成人、特に高齢者に必要なワクチンの検討という座談会が開かれていました。
都会では小さなお子さんのウイルス疾患の流行がまず話題になりますが、
核家族単位の問題であんまり高齢家族を巻き込むことは少ないのではないでしょうか?
三世代同居の多いこちらではお孫さんから移るインフルエンザなど、
免疫力の低下した祖父母への感染が主たる問題になってきています。
子供はもともと免疫力が強いですから、
一時的に具合が悪くなってもすぐ元気になってくれることが前提にありがちです。
お年寄りが38度以上の熱発を生じ、
飲まず食わずの状態になってしまったら。。。
病気を治療している間に寝たきりになってしまったり、
ADLの低下の問題が常に生じてきます。
そのために、
異常の早期発見早期治療が必要です。
その前に普段からの免疫力をあげるための日々の細々した注意が必要になってきます。
(いつも紹介している脱水と栄養不足の改善です。)
そんな背景があるために、
強力に感染予防をしていこうというワクチンでありました。
インフルエンザワクチン
インフルエンザはウイルス自体が遺伝子の変異が速いため、
ワクチンがキチンと効能果たすというより、
変異の入らない部分に対する抗体を作ることができるように打つものとしてとらえましょう。
インフルエンザ自体を予防する力が少ないとしても、
続発性(インフルエンザ罹患中にかかる細菌性肺炎など)の病気の重症化を防いでくれます。
帯状疱疹への水痘ワクチン
小児期にかかる水痘が治っても神経節に住み込み、
免疫低下をきたしたときに大暴れするのを押さえてくれます。
高齢者で免疫低下を生じる原因は多種様々ですが、
帯状疱疹自体の皮膚所見が消失しても、
そのあとの神経痛による後遺症(主に痛み)で、
毎日の生活が不自由になってしまうことが多い病気です。
もとより栄養状態もよく、
過労傾向もない人であれば後遺症も残りにくいのですが。
加齢によってしょうじやすい歯科系のトラブル。栄養不足。脱水。
残念ながらこのような問題を常に抱えている方は、
いつでもどんな時でも帯状疱疹は起こりえます。
加えて後遺症も重症化しやすいです。
普段からの栄養のバランスをとることの勉強と実施が地味だけど大事なんです。
*末葉神経障害の治療にはよくビタミンB12とビタミンEが処方されます。
ことが起こってからだと痛い目にあいます。
日頃から意識してこちらのビタミンを食事からでもサプリメンとでもいいので摂取してみてください。
肺炎球菌ワクチン
高齢者の死因で一番多い肺炎。
その病原菌ともなる確率の高い肺炎球菌
65歳以上は補助金もつきました。
しかし残念ながら一回しっかりうったとしても、
50%しか肺炎を予防していません。(オランダでの臨床実験)
あと5年たったら追加のワクチン接種をすることが大事です。
口腔内の清潔の維持、飲み込む筋力の維持、栄養バランスの保持と、
ワクチンを打つ前にもできることはたくさんあるのですが。
高齢で肺炎になりやすい傾向の方たちを見ると、
栄養状態がわるいために重症化する方が多いです。
すべてにおいて、
「面倒であることはしたくない病」で、
「そんなに長生きしなくてもいい。」という言葉が出てきてしまいますが、
なってしまってからでは少し遅いのです。
ピンピンコロリの想定外の味わなくてもいい痛みや苦しみが襲い掛かってきてしまいます。
元気な時には当たり前と思っていた歩行する力や食事する能力も、
熱発のbefore after で全く異なってきます。
そこを割り引いても穏やかな老後のためにもこちらの3つのワクチンは受けておくと、
悲しい、いやな思いをすることは一つ二つ減ります。
もちろん手洗いうがいは基本です。