自分への愛情のかけ方

生活の知恵的な体調管理

おいしいからといって自分で調理は禁の巻【魚毒】

おいしいからといって自分で調理は禁の巻き(魚毒)


こんな記事を見つけました。
ものすごい速度で広がる筋肉痛の患者さんの症例です。


筋肉がどんどん壊れて言ってしまう横紋筋融解症の症状であったのですが、
その原因がなんと魚。
自分で釣り上げたふぐを調理して食べたことが原因でした。


普通横紋筋融解症の原因としては、
① 外傷や筋挫滅によるもの【自然災害時、交通事故など】
② 外傷によるものではなく運動によるもの【過度の運動や高体温、代謝性筋疾患】
③ 外傷や運動ではないもの【薬や毒素、感染、電解質異常】
があります。
今回は3番目の毒素によるものであった訳です。


具体的には患者さん自身が、
二日前に素潜りで取ったハコフグ

 

ハコフグにはテトロドドキシン【ふぐ毒として有名】は含まれず、
今回の経過もテトロドドキシンによる症状は見られませんでした。
でもハコフグに含まれる毒素を疑い検索したところ、
パリトキシン様毒素が考えられたのです。

 

パリトキシン様毒素というのは、パリトキシンに似た物質と考えられていますが、
化学構造の解明には至っておらず厳密には確定診断は難しいそうです。

 

原因となりうる魚(アオブダイハコフグ)を食べたあとに、
横紋筋融解による激しい筋肉痛やミオグロビン尿【茶色のコーラ色の尿】を生じてくるためその臨床経過から診断できるものです。

 

横紋筋融解症による急性腎不全を防止するために、
大量持続輸液が必要です。

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パリトキシン様中毒は、
底生性渦鞭毛藻の一種であるOstreopsis siamensis がパリトスキシン様毒素を産生し、
その藻を食べる魚類に蓄積すると言われています。
またこの毒素は水溶性で加熱調理しても毒性は失われません。
その地域の漁師さんの情報では、藻に毒のある海域があり、そこでは漁をしないように言い伝えられているそうです。

 

【魚中毒の症状】
ふぐ中毒→呼吸筋抑制【息ができなくなる】
シガラテ中毒→末梢神経障害と徐脈
パリトキシン様中毒→横紋筋融解症状

 

パリトキシン様中毒の場合、
魚を食べて症状が発症するまでの時間が通常3~36時間。
この時間内にアオブダイハコフグなどを食べていたら要注意。
心筋梗塞も起こす危険もある毒素です。

皆さんつりあげたふぐにはできれば手を出さない様にしましょう。