七日盆も過ぎてこちらにはコロナウイルスも何のその、
帰省する方達の車が見え始めました。
お孫さんの声や久々に会えた親戚同士の笑い声など、
いつもの田舎道とは異なる音が聞こえてきます。
さてちょうど今頃、
健康診断の結果が返却されてきます。
お盆といえばお酒がつきもの。
久しぶりだなあーいっぱい飲むかの声かけで楽しい酒盛りが始められます。
肝機能が赤信号のお父さんにとっては痛し痒しの時期でもあります。
家庭ではお母さんが目を光らせてくれていますが、
この時期は無礼講ならぬ飲み放題ウェルカム。
若い方達はアルコール以外にも楽しいことがたくさんありますから、
昔ほどではないとおもいますが。
さてこんな本を見つけました。
酒好き医師が教えるもっと最高の飲み方:葉石かおり 著
お酒が好きだけど、
こんなに飲んでいいのかなという疑問に答えてくれる本です。
脳へのアルコールの影響をまとめた図表では、
アルコールを飲むことで爽やかな気分になり、活発化、ほろ酔気分、話が滑らかになるちょうどいい感じのところに至る量はビール中瓶1〜2本、日本酒1〜2合程度です。
それ以上になると強い酩酊、麻痺、死の危険とクラス分けされています。
死の危険があるのはビール中瓶10本超、日本酒一升超。
毎日晩酌されているお父さんのお酒の種類を聞くとまず350mlビール1本。
その後に焼酎水割り2〜3杯。(現役をグラス半分ぐらいにして水を足していくというものです)
(ウイスキーを飲む方ではとにかくものすごい量を飲む週と全く飲まない週にわけていたり。
色々ご自己流ですがこんな風に飲めばいいのではという自分なりの許容量を設定されています。)
軽い酩酊状態をきたす量に留まっていますが、
これが毎日となると肝臓への負担はちりつもでかなりのものになります。
お摘みはお母さんが作ってくれた品を食べている場合はまだよくて、
食事の前に何にも食べずに飲むという場合もあります。
お酒を毎日飲むことでいろいろな病気が手ぐすねひいいてくるのは理解していても飲みたい方は、
適量を飲みましょうと推奨されています。
適量飲酒?=純アルコールで20g/日に抑えることです。
日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2〜3杯。
え〜こんなんじゃ飲んだうちに入らないと皆さんは言われます。
でも、そんなことを言われる皆さんほど、
病院でアルコールを飲みまくった方たちの姿を知らない。
医療従事者(特に消化器内科系)は残念なことにそこをいつも担当させられて日夜苦労されていたわけですが、
(かなり昔の病院内の風景です。今の日本ではあまり見かけない風景かもしれません)
食道静脈瘤の破裂で血飛沫あげてる方の出血をどうにか止めようとしたり、
肝硬変でお腹いっぱいにお水が溜まったお腹を定期的に小さくしたり、
目の前の人は苦しんでいるのですから助けなければとおもいつつ、
これほどになる前に何かしら手立てはないものかといつも思っていました。
でも今でも夏になるとビールや果実酒の宣伝がにぎやかになります。
飲むこと命っていう感じのCMが流れてきます。
美味しそうに見えますよね。それに楽しそうです。
世界は広いから一人だけ予防を唱えたってこの酒はうまい、うまいぞ、うまい、うまいぞーの流れには、抵抗できないんだなあと静かに悟りを開きました。
残念ながら私とご縁のあった方には時折、
アルコール摂取量のチェックと、アルコール多飲のちの未来をお話ししていきます。
飲んでもいいでも適量をという旗印で。
ただもうお酒だけが生きがいでご家族も周囲の皆さんも当人の自由にさせてあげてくれという場合には自然経過を時々血液検査しながら、腹部エコー当てながら肝臓見守ります。
美味しいものでも多すぎたら毒になります。
こちらのお話を聞いて少しだけ心配になった方はぜひ、
葉石先生の本を購入されて一読されてみてください。
勉強になります。
ちなみに二日酔いには黄蓮解毒湯が良いそうです。