今日の外来は混みました。
いつもゆっくり話したい方も薬が切れたので見えました。
なんだか元気がありません。
天候が悪くなり、
散歩や畑仕事ができないと落ち込みやすくなります。
天候に左右されておかしいと思うでしょう?
でもそのような方たちほど、
家のため、夫のため、子供のため、孫のために、
自分に愛情をかける前に他にかけてきた方が多いです。
目の前の仕事がなくなりやっと自分に対して時間がとれるようになった時には、
その方法がわからず手持ち無沙汰になっています。
田舎ですから楽しむところもそれほど多くありません。
家族のための節約も身について余計なことはあまりできません。
消化器系のがんの手術をして、
無事生還された方です。
退院直後は再び自宅に戻ることのできた喜びと、
入院中に知り合いになった方からのエネルギーチャージで、
私の方がずいぶんと励まされました。
本当に励まされました。
でも今日はその方がお元気ないのです。
「どうしたの?」
「いや、いつものことです。
何もすることがないと悪いことばっかり考えてしまって。」
自身の娘さん、お孫さんと同居され、
傍目にはとても幸せなのに。
傍目と内実とは伴わないことが多いです。
お母さんの顔立ちはしわしわだけど、
よく見ると、
ポンペイの壁画に描かれてた女性の顔立ちに似ています。
彫りが深く目がぱっちり、
黒目も大きくてかわいいです。
でもここ30年お化粧したところを見たことがありません。
よしここで一つお化粧でかわいくしてみたらどうなるだろうかとアイディアが浮かびました。
私自身今年の8月から化粧をまじめにするようになって、
世の中が少しずつ変わりました。
お母さんに少し待ってもらうことにして、
化粧道具を持ってきました。
下地を塗ってファウンデーション、
眉を書いてアイシャドウ。
最後に口紅。
簡単ですがいつものお母さんが明るくなりました。
「女性のたしなみでお化粧は必要だっていわれてたけど、
する時間がなかったからね。なんだか恥ずかしい。」
「お母さん、今は少し時間あるから、
鏡見てお化粧してみてね。とってもかわいいよ。」
その後二人のお母さんが流れに乗ってお化粧することになりました。
お父さん同伴で見えている患者さんです。
少しうれしそうな表情になりました。
自分一人ではなんだかんだいいわけをいって行動しないから、
ここで変化を起こしてしまいました。
子孫繁栄のためにパートナーを求めるときだけきれいにするのではなく、
自分の人生を楽しく生きるためにも今の自分をきれいにすることの効果は、
自分だけで無く周りを幸せにすること間違いありません。
時間が無くてお化粧なんてといっていた私がこのかわりようです。
次回また手ぐすね引いて口紅をさしてあげようと思います。